描けない日々が7年も続くと、
自分はもう絵を描く道には戻ってこれないのだろうか。
と、ぼんやり思うようになります。
ただ、描けないなりに描こうとはしていました。
できあがるものはつまらないものばかりでしたけど(笑)
そんな中、『香り』に出会います。
最初はアロマオイルでした。
そして「調香」という香水を作る技術にも出会います。
調香のレッスンに通っていました。
香りを感じてみる、という行為。
それをし出して、すぐに描けるようになったのです。
しかも、大学時代まではどちらかというと、
モノクロや抑えめの色彩で描いていましたが、
今度は色がメインの絵に変わっていました。
嗅覚の研究はまだ未知のことも多いですが、
私の感覚を開いてくれたのは、
香り、すなわち嗅覚でした。
出会わなければ、今も描けていないかもしれません。
創作する、ということに、
五感というものが大きく関わっているということを
身を持って体験したのでした。
私、絵が描けなくなった期間に、
絵を勉強しに行ったり少しあがいたりも
していたんです。
でもね、技術を学んでも状況は変わらなかった。
描けるようになったのは、五感が開かれたから。
大学時代の先生の
「デッサンはいらない」
の言葉がここで腑に落ちたんですよ。
嗅覚だけではなくて「感じる」ということが
大切なのでしょうね。
五感を磨くことは、
芸術面にダイレクトに影響します。